鬼滅の刃 無限列車編を見た

映画館

あまりにも見たくなったので家族連れとカップルばかりの休日ららぽーとまで足を運び、満員の映画館で最前列の席に座って見てきました。結論から言うと、映画館を出ようとするとき足元がフラツイてまっすぐ歩けませんでした。それくらいに衝撃が強かったです。

まず映画館へ入館するところからして異常な事態になっています。私は年に5~6回くらいは映画館へ足を運ぶのですが、満員の映画館というのは経験したことがありませんでした。全席みっちり、最前列から最後列まで一席も空くことのない映画館を体験したのは初めてかもしれません(はるか昔にきんモザの映画を見た時には池袋の小さめの映画館が満員だった記憶があるけども)。

人の数が多いというだけでも圧倒されます。映画館なんて半分以上の席があいているのが普通なので、人が発する雑音や会話も空間的に散らばっているものなのですが、満員となると雑音にも圧が生まれていました。何かしらの大きなイベントに参加した時にその場から感じられる熱気と似たようなものが感じられました。

またそれだけの数の人間が『鬼滅の刃 無限列車編』を見に来ているという事実もうまく受け入れられませんでした。自分は2019年春の深夜アニメから鬼滅の刃へ入っているので、まだどこかで深夜アニメ扱いしているところがあります。きんモザの映画と似たようなものです。それを大量の老若男女が見に来ている。これが社会現象というものか、とかなりビックリしてしまいました。

本編

そんな風にして開始前からビビり倒していましたが、本編はそういったアレコレを吹き飛ばすクオリティになっていてとんでもなかったです。

ストーリーに関しては原作どおりなので特に言うべきことはありません。夢のシーンが長くて少しダレたかなという程度です。善逸と猪之助の夢のシーンが少しギャグ調だったのですが、あれだけの人数が居ながら笑っていたのは小学生くらいの子が一人だけだったことは印象的でした。

ラストの戦闘を除いてなぜか記憶に残っているのは炭治郎の自害シーンです。映像の質が高い分だけ、自害する場面の嫌な感覚もより伝わってきます。それが何度も悪夢のように繰り返されるので記憶に強く残ってしまいました。

原作で読んだときには大して何も思わなかったんですが、こうして映像化されてみると炭治郎の狂気が伺いしれます。怒りで狂った主人公があれだけ自害しまくる映画をたくさんの人間が一斉に見ているというのも不思議な気持ちでした。日本人には潜在的な刀での自害願望があるのでしょうか。

そしてラストの煉獄さんと猗窩座の戦闘シーンです。これはもうスゴかった。スゴかった以外の語彙があまり無いんですけども、良質なきららアニメばりに原作のコマとコマの間が補完されていました。

原作ではパッと次のコマに移った時に死に体だった煉獄さんですが、映画では万全の状態から傷ついていく過程が一つ一つ描かれています。これがとても痛々しい。絵が良いのか音が良いのか、それともどちらも良いのかは定かではありませんが、かなり暴力的に感じられました。北野映画とかならまだしも、アニメの戦闘シーンで「人が暴力的に傷ついていく感覚」をあそこまで得られたのは初めてかもしれません。

若おかみは小学生のときにもあったように、こうした暴力性に衝撃を受けた人間がネットに批判を上げることは予想がつきますが、読むだけ無駄なのでサッサと見に行った方が良いです。でっけえスクリーンとでっけえ音響で煉獄さんが暴力的に傷ついていく戦闘シーンを見ましょう。時間にしたらそう長くないはずですが、見ている最中は感覚が圧縮されているので非常に長く感じられます。

映画の演出で何か印象的なシーンの直前に、完全な無音にすることって良くありますよね。ラスト付近でもそれがあったので、これだけ人数が多いと人が身動きするときのガサゴソ音が聞こえてくるんじゃないかと少し身構えていました。ところが、あれだけみっちり人が詰まっていながら人の動く気配が周囲から一切感じられず、聞こえてくるのはすすり泣きばかりであったのには驚きました。

Twitterで誰かが言ってましたが、ああいった体験をすると「コンテンツは宗教の代わりになっている」と言いたくなる気持ちも分かりますね。良し悪しはともかくとして、たくさんの人間が一つ対象によって心を動かされている空間ってのは衝撃的です。学校の卒業式を思い浮かべてもらえたら分かりやすいと思います。

とは言いつつ、私も例に漏れず目から涙を流していたので特に言うべきことはありません。今まで映画館ではガラガラの席に座ってノンビリと映画を見て、終わった後にTwitterへ感想を投げる、程度の体験しかしてなかったのでとにかくビックリしてしまったというのが大きいです。以前プリパラのライブビューイングを見に行った時には隣に座った奴が嗚咽を漏らしていたけども、あれはライブだからちょっと違いますね。

少しでも気になるなら今見に行った方が良いです。映画そのものにも払った金以上の価値がありましたし、社会現象に乗っかるのは今しかできません。得難い体験ができるんじゃないでしょうか。